‘英文契約書情報’

国際契約について

国際契約とは

国際契約では国内の企業同士の契約にはないさまざまな特徴やリスクが存在します。
海外の相手とは文化や習慣、従うべき法律が異なります。こうした違いや多様性を常に心がけておかなければ、ビジネスでは取り返しのつかない事態を招くこともあります。

国際取引の特徴とリスク

  1. 相手方の多様性
    人種、民族、宗教、言語、風俗、習慣、考え方、価値判断、文化などが日本とは違うこと。
  2. 法律の多様性
    相手方の国の法律を含め、取引に適用される条約、国際ルール(ICC/UNCITRALの仲裁ルール、Incoterms、L/C統一規則など)、国際私法(抵触法confict of lawなど)が多様で、外国法については日本法と比べるとなじみにくいため、その知識不足。
  3. 紛争の解決方法、解決場所の多様性
    紛争の解決手段(裁判、仲裁、調停など)やそれを行う場所の決定についての予測できる事態の把握不足。
  4. 通貨の多様性
    当事者が通常使用している通貨がそれぞれ異なるので、決済する通貨をどの国の通貨にするか、為替リスクの問題。

このように、国際取引の多様性は当事者間に共通した基盤の欠如であり、国際取引におけるリスクの所在であるとも言えます。 (さらに…)

契約締結上の瑕疵

契約が締結されずに交渉中止となった場合、どんなリスクもないように思えますが、国際取引では大きな間違いです。
いったん契約交渉をはじめれば、誠実に交渉しなければならない義務があります。
また相手方が契約を行うかどうか決定できるように情報提供の義務もあり、事実と異なることを通知した場合には、契約成立後にその契約自体取り消されることもあります。もちろん詐欺や錯誤も取り消される原因になり得ます。
契約締結上の瑕疵については、日本の民法上では信義誠実の原則から、他の国では、不実表示の法理から主張され、損害賠償請求をされることもありますから、契約交渉中に取引をやめる決断をする時は注意が必要です。 (さらに…)

当事者の略称

日本の契約書では当事者を甲乙などと略称しますが、海外の取引契約では、当事者をアルファベットなどで略すことはほとんどありません。
商号をそのまま使うことが一般的です。

印紙税について

日本では契約書の種類によって印紙を貼らなくてはなりません。この印紙税に関しては海外との契約で注意する点があります。
たとえ英文契約書であっても、その契約設立地または契約締結地が日本であれば、印紙税法が適用されます。

国際的取引に関する契約は、契約の一方の当事者が他国の法人であるので、このような場合は、対象となる契約が日本で締結されていない場合または契約最後に調印したのが外国の当事者である場合には、日本の印紙税法の適用はありません。
ただ、他国の法律で印紙税のような法律があれば、その適用がある場合もありますから契約時に調べておくとよいでしょう。

契約書の製本方法

日本の契約書では、製本テープを使用して割印を押すのが一般的です。

海外では、糸で縫い付けるとか、金具をつけるなどの方法があります。
割印の代わりには、双方当事者のサイン(Initial)やスタンプを各ページにつけて差替え防止を行います。
また専用の紙を使うケースもあります。

契約タイトルについて

契約書のタイトルはいろいろありますが、覚書や契約書などどんなタイトルであってもその効力に違いはありません。Agreement,Contract,Memorandum of Understanding等のタイトルが付されていても、それが当事者の合意をした内容を示す書面であって、各当事者の署名があれば、その効力に差がありません。

紛争解決について

紛争解決には、紛争を処理することに根拠とする法令(準拠法)、紛争処理手段(裁判、仲裁など)と紛争処理地(管轄裁判所、仲裁地など)を契約に定める必要があります。自国の法律を準拠法にし、裁判所管轄を自国にすることがもっとも有利と思われますが、海外の法律を準拠法とすることが有利になることもあります。
また、裁判になると解決が長期化する場合もありますから、仲裁を選ぶことも検討しましょう。さらに仲裁の場合でもどの仲裁機関の仲裁手続きを採用するか、どの場所で行うのかなどによっても有利・不利がありますので注意してください。 (さらに…)

完全合意(Entire Agreement)

海外の国では、口頭証拠法則(parol evidence rule)と呼ばれる原則がある国もあります。これは、当事者間での合意を書面化したものを最終的(finally integrated)に完全な(entire)合意とすることを意図した場合は、それ以前に口頭や書面で別の合意があったとしても、これらを証拠として持ち出すことで、契約の内容を否認したり、変更や補足などは許されないという原則です。
(さらに…)

保証(Warranty)と補償(Indemnity)

保証(Warranty)とは、契約の当事者が、契約の目的物が一定の品質を有することや自らがその目的物について正当な権原(title)を有することなどの事実を確約することです。この保証したことに対して、違反があった場合には相手方は違反した当事者に損害賠償(damages)を求めることが出来ます。

保証は、明示の保証(express warranty)と黙示の保証(implied warranty)に分けることが出来ます。 (さらに…)

努力義務

契約書の義務規定について、最低購入保証など必ずしもその義務を守ることが絶対的な自信が無い場合、義務を和らげるため、make its reasonable effortsなどの文言を入れ、妥協案として提示される場合がよくあります。
確実に履行することが難しい内容や経済状況によって変わってくるような義務であれば、努力義務にすることで契約上の義務違反にならないと主張することもできます。
しかし、いくらこのように努力義務にしたからと言って義務を完全に履行できなくても大丈夫という訳ではありません。 (さらに…)

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