1月, 2012年
署名権限者
日本においては肩書きを有する役員は、権限を持っていると判断されるのが一般的で、会社法にも表見代理という制度があることから、あまり深く署名権限者について考えられていません。
しかし、外国企業、特に米国企業については副社長(Vice President)の肩書きを有する社員は少なくありません。契約書の準拠法が日本法であれば、どのような職責に対してその肩書きを与えているかによって、表見代理も成立する余地はありますが、当然に相手方に契約締結の権限を有していたということを主張することが難しい場合も考えられます。たとえ副社長であっても契約書署名権限を有していないケースも考えられるからです。特に重大な契約については署名権限があるかどうかの確認と、署名権限が無ければ委任状の提出を求めた方がよいでしょう。
覚書(Memorandum)
覚書も、法的拘束力がないと明記されていない限り、法的拘束力があります。
Memorandom,Memorandum of Understanding,MOU,Letter of Intent,LOI などのタイトルの覚書がよくあります。その内容の中に、「This Memorandum is not legally binding.(本覚書には法的拘束力がない)」と表記されていれば法的拘束力はありませんが、この規定がない場合には、相手方が条文の基づいて履行請求してくることも予想されます。また訴えられることもあり得ます。 (さらに…)
署名について
契約書末尾には、署名欄を設けます。契約書に署名することによって、その署名者が契約上の拘束力を受けることになります。署名する権限を会社から与えられていない担当者が署名すると、その担当者個人が責任を負うことになります。日本法では、そのような場合でも、表見代理という制度でカバーされるのでっ会社が責任を負うこともありますが、国によってはそのような表見代理の制度自体がない場合もあります。
ですから、実務上は会社の法定代理権を有する代表取締役や、社内の決裁において代表取締役から署名権限を委任された会社の幹部が署名するのが一般的です。この場合は委任状を添付します。
個別性(Severability)
契約の条項が法令や法令の改正により、部分的に影響を受けて、取引が履行できない状況になることがあります。このような場合に、影響を受けた一部の条項を除いてその他の条項は有効に適用し、取引の安全を図ることになります。さらに、影響を受けた部分に関しては、契約当事者が相談の上、修正し、影響を排除することになります。 (さらに…)
完全合意及び修正(Entire Agreement and Amendment)
完全合意(Entire Agreement)は、日本ではなじみのない規定になりますが、これは英文契約独特の条項で、契約が締結されるまでの契約当事者間で行われたさまざまな合意は、すべてこの契約に集約されて合意され、契約締結までの合意は無効であるという条項です。
この規定により、今まで打ち合わせし合意してきた内容は、契約締結でもれなく合意されたことになります。さらに言えば、契約後に「あの時はこのように言って合意した」といったことを主張されてもこの条項により無効となります。 (さらに…)
準拠法及び言語(Governing Law and Language)
契約の根拠となる法令のことを準拠法といいます。契約上の権利義務は、その取り決めた準拠法の影響を受けて解釈・運用されるため、準拠法をどこの国の法令にするかは非常に重要です。
一般的には、契約当事者のいずれかの国の法令を選択することが多いです。どの国の法令を準拠法にすれば有利になるかどうかは一概には言えませんが、やはりよく知っている自国の法律であれば、その解釈について問い合わせも容易ですからそれだけで見れば有利と言えるでしょう。 (さらに…)
紛争解決方法、仲裁(Arbitration)
契約書にあらかじめ紛争解決方法を規定しておくことも、万一のことを考えて重要な規定になります。特に海外の会社との紛争は、その裁判所管轄によって多くの費用がかかる場合もありますから、当事者双方しっかりと話し合い決めておくとよいでしょう。
紛争解決方法は、双方協議、裁判または商事仲裁で解決することになります。協議で解決できれば問題ありませんが、協議で済まない場合には、裁判所での公的解決か、商事仲裁専門機関による商事仲裁で私的に解決することになります。 (さらに…)
機密保持(Confidentiality)
日本でも重要な規定ですから、より海外との取引では重要な規定でもあります。秘密情報は、開示者側の権利や利益を守るため、情報に相手先の中でアクセスできる権限者を定めた上で開示し、その情報が他者に漏れないようにすることが重要です。相手側の社員全員に指導教育義務を課しておくことも重要な規定になります。 (さらに…)
不可抗力(Force Majeure)
日本では、軽視しがちな契約規定ですが、契約締結後に契約当事者が予期しない事由が発生し、それがいずれの当事者の責任でもなく、契約の履行ができなくなることがあります。このような場合を不可抗力(Force Majeure)といいます。
どのような事由を不可抗力とするのか、事由の発生を通知する義務を課すか、いつまで事由の継続を認めるのか、契約の存続はどうするのかなど注意する必要があります。 (さらに…)
知的財産権について
これは海外との取引だけの問題ではないですが、やはり最近は特許権・著作権・商標などの知的財産権(Intellectual Property Right)の紛争が増えてきています。いったん紛争となると当事者間だけの争いだけでなく、第三者も絡んだ複雑な訴訟に発展することもあります。
そうならないためにも、製品に使用されている知的財産権が他者の権利と抵触していないかを契約前に確認しておくことは非常に重要です。
しかし、すべてを把握することは難しいので、 他者の権利と抵触していることがわかったときにどうするのかを規定し、対処することとなります。 (さらに…)
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