2月, 2012年
ウィーン動産売買条約について
これは国際的な物品の売買契約に適用される私法条約です。
本条約の適用は、日本法を準拠法賭した場合やウィーン動産売買条約を締結している国の法律を準拠法とした場合に適用されます。
また、この条約を締結していない国との契約であってもこの条約が適用されることもあります。
ただし、個人による売買や株式、労働供給などについては適用されません。
なお、ウィーン動産売買条約は、売買契約の成立と売買契約から発生する権利について規定されているものですから、契約自体の有効性や売買の対象物についての権利については適用されません。
この条約は当事者は合意によってその適用を排除することができます。
適用排除の文例としては、
This Agreement shall not be governed by the United Nations Convention on Contracts for International Sale of Goods,the application of which is expressly excluded. (さらに…)
国際契約の裁判と仲裁
海外との取引においてトラブルが発生した時に、その解決方法をどのようにするかは判断が難しいかと思います。
裁判にするのか仲裁にするのか・・・
仲裁の方が簡単でその実効性も高いという訳でもないですから、契約内容によって決めていくとよいでしょう。 (さらに…)
国際契約書作成、締結について
契約書の作成や契約締結について、もっとも重要なのはその証拠能力にあると言えます。
ですから、いかにリスクを的確に予測できるか、取引目的達成のために必要である規律をどこまで定めておけるか、実際に実行可能な紛争処理についての手段とルールを定めておけるかが重要になります。
国際契約締結についてこれだけは確認しておこう
- あいまいな表現やあいまいな部分を残さない。
契約の対象物や契約条件は詳細に規定すること。- 準拠法はどの国の法律なのか注意して交渉し、決定する。
- 紛争解決方法
- 決済通貨と決済方法、為替リスク
- 国際的なルールや条約などにより、取引条件の明確化を図ること
- 日本法で解釈するとおかしな点はないか確認すること。
- 英文法に基づくと、どのような解釈がなされるかを確認すること。
- 契約締結者に正当に契約を締結する権原があることを確認すること。
- 契約締結や海外送金について何か制限がないか、政府許可などが必要でないかを確認すること。
- 契約締結に当たって、取締役会決議といった承認が必要ないかどうか確認すること。
以上については、国際契約において最低限確認しておきましょう。
国際契約について
国際契約とは
国際契約では国内の企業同士の契約にはないさまざまな特徴やリスクが存在します。
海外の相手とは文化や習慣、従うべき法律が異なります。こうした違いや多様性を常に心がけておかなければ、ビジネスでは取り返しのつかない事態を招くこともあります。
国際取引の特徴とリスク
- 相手方の多様性
人種、民族、宗教、言語、風俗、習慣、考え方、価値判断、文化などが日本とは違うこと。- 法律の多様性
相手方の国の法律を含め、取引に適用される条約、国際ルール(ICC/UNCITRALの仲裁ルール、Incoterms、L/C統一規則など)、国際私法(抵触法confict of lawなど)が多様で、外国法については日本法と比べるとなじみにくいため、その知識不足。- 紛争の解決方法、解決場所の多様性
紛争の解決手段(裁判、仲裁、調停など)やそれを行う場所の決定についての予測できる事態の把握不足。- 通貨の多様性
当事者が通常使用している通貨がそれぞれ異なるので、決済する通貨をどの国の通貨にするか、為替リスクの問題。
このように、国際取引の多様性は当事者間に共通した基盤の欠如であり、国際取引におけるリスクの所在であるとも言えます。 (さらに…)
契約締結上の瑕疵
契約が締結されずに交渉中止となった場合、どんなリスクもないように思えますが、国際取引では大きな間違いです。
いったん契約交渉をはじめれば、誠実に交渉しなければならない義務があります。
また相手方が契約を行うかどうか決定できるように情報提供の義務もあり、事実と異なることを通知した場合には、契約成立後にその契約自体取り消されることもあります。もちろん詐欺や錯誤も取り消される原因になり得ます。
契約締結上の瑕疵については、日本の民法上では信義誠実の原則から、他の国では、不実表示の法理から主張され、損害賠償請求をされることもありますから、契約交渉中に取引をやめる決断をする時は注意が必要です。 (さらに…)
当事者の略称
日本の契約書では当事者を甲乙などと略称しますが、海外の取引契約では、当事者をアルファベットなどで略すことはほとんどありません。
商号をそのまま使うことが一般的です。
印紙税について
日本では契約書の種類によって印紙を貼らなくてはなりません。この印紙税に関しては海外との契約で注意する点があります。
たとえ英文契約書であっても、その契約設立地または契約締結地が日本であれば、印紙税法が適用されます。
国際的取引に関する契約は、契約の一方の当事者が他国の法人であるので、このような場合は、対象となる契約が日本で締結されていない場合または契約最後に調印したのが外国の当事者である場合には、日本の印紙税法の適用はありません。
ただ、他国の法律で印紙税のような法律があれば、その適用がある場合もありますから契約時に調べておくとよいでしょう。
契約書の製本方法
日本の契約書では、製本テープを使用して割印を押すのが一般的です。
海外では、糸で縫い付けるとか、金具をつけるなどの方法があります。
割印の代わりには、双方当事者のサイン(Initial)やスタンプを各ページにつけて差替え防止を行います。
また専用の紙を使うケースもあります。
契約タイトルについて
契約書のタイトルはいろいろありますが、覚書や契約書などどんなタイトルであってもその効力に違いはありません。Agreement,Contract,Memorandum of Understanding等のタイトルが付されていても、それが当事者の合意をした内容を示す書面であって、各当事者の署名があれば、その効力に差がありません。
紛争解決について
紛争解決には、紛争を処理することに根拠とする法令(準拠法)、紛争処理手段(裁判、仲裁など)と紛争処理地(管轄裁判所、仲裁地など)を契約に定める必要があります。自国の法律を準拠法にし、裁判所管轄を自国にすることがもっとも有利と思われますが、海外の法律を準拠法とすることが有利になることもあります。
また、裁判になると解決が長期化する場合もありますから、仲裁を選ぶことも検討しましょう。さらに仲裁の場合でもどの仲裁機関の仲裁手続きを採用するか、どの場所で行うのかなどによっても有利・不利がありますので注意してください。 (さらに…)